~ また会えた大阪の街で~
今年10月に来日したイェンさんは、ベトナムの首都ハノイの南ナムディン省の出身です。同じ時期に入学した学生の中でも日本語がとても自然に話せて、日本社会に馴染んでいます。
【最初の大阪での生活】
実は、イェンさんにとって、日本の生活は初めてではありません。2018年から、大阪府摂津市にある自動車部品を作る工場で技能実習生として5年間働いていました。その時に、仕事が終わってから家に帰り、毎日、日本語の勉強をしていたそうです。
工場での日々は忙しく、週6日午前8時から午後8時まで仕事をしていました。それでも休みの日は町に遊びに行き、好きな映画を見たり歌を歌ったりすることもありました。工場の仕事をすべて覚えるには1年ぐらいかかりましたが、そのあとは慣れてきて早く仕事ができるようになりました。
職場の人間関係がよかったので、働きやすかったそうです。一緒に働いている日本人の中でも「おばあちゃん」たちには特に親切にしてもらいました。そんな日々の中でも、特に忘れられない思い出があります。働き出して5年目の誕生日の朝、同じ仕事をしている「おばあちゃん」に、サプライズプレゼントをもらい、とても嬉しかったそうです。そのときにもらった帽子は今も大切にしていて、遊びに行くときによく被っています。その頃の日々を振り返ると、たくさんの優しい仲間や友人に恵まれて、寂しさを感じることはありませんでした。
【また大阪に戻りたいと思ったのは?】
イェンさんは、中学生の時から日本のアニメが大好きで、日本語の意味がわからなくても、アニメの歌を覚えて歌っていました。高校に入り日本が好きな気持ちが膨らんでいき、ベトナムの大学入試にも合格していたのですが、技能実習生として日本に来ることを選びました。仕事先である大阪の工場で働いているときに出会った日本人の方々がとても親切だったのでますます日本が好きになり、日本の大学で勉強したいという気持ちが強くなりました。それで、帰国後、日本の学校に進学するために、大阪の日本語学校に入学することを決めました。
【日本語学校の学生として】
今年の10月に大阪に来たときは、初めて来た時のような恐怖心はなくなり、懐かしい気持ちになりました。今はJAC教育学院の留学生となり、日本語と一緒に社会や文化のことなど、毎日沢山の知識が増え、勉強ができて楽しい。そんな日々にとてもわくわくしています。アニメの歌を歌うのが大好きで、特に「すずめの戸締り」の映画で歌われている曲が好き、と嬉しそうに話すイェンさんには、素敵な夢があります。
それは、将来ベトナムから日本にやってくる観光客のための、観光ガイドになることです。そして、自分が好きな日本の観光地やおすすめの面白い場所などを、母国の人々に知ってもらいたい。
そのためにも、これから日本語能力試験と留学試験を受けて、観光の勉強ができる大学に入学したい。そしていつか、ベトナムの人たちに、美しい日本の姿を紹介できる日を楽しみに、日本語の勉強に励んでいます。
その夢が実現する日が、そう遠くない将来にやってくると確信できるほど、イェンさんの強い意志が伝わってきました。観光でベトナムと日本の人々を繋ぐ架け橋に!イェンさんの夢に向かって、一緒に進んでいきましょう。